皆さんは、育児グッズを選ぶ時何を参考にしていますか?
最近ではインスタグラムやYouTubeなどのSNSで流れてくる、アイテムを見て購入される方も多いかと思います。
近頃の育児グッズはビジュアルもかわいいものが多く、写真映えする育児グッズが本当に多いですよね。
しかし、そういった流行の育児グッズの中には、使い方を誤ると赤ちゃんのケガや死亡事故に繋がる商品もあります。
そこで、今回は「赤ちゃんの安全を守るために知ってほしい、実は危険な育児用品5選」をご紹介します。
1 育児グッズの安全基準と安全規格
育児グッズを選ぶ時「安全基準」や「安全規格」を満たした商品を選ばれる方も多いかと思います。
育児グッズやおもちゃにどんな安全基準や安全規格のマークがあるのかご紹介します。
一般財団法人 製品安全協会
安全面に配慮された製品に貼付するSG(Safe Goods)マーク |
一般財団法人製品安全協会が定めた安全基準に適合していることを示すマークです。 SGマーク付き製品に万が一にでも欠陥があり、それが原因で人身損害が発生した場合は、対人損害を賠償する制度も付加されています。 SGマークの表示対象の子ども向け製品には、ベビーカー、ベビーベッド、抱っこひも、ベッドガードなどがあります。 |
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一般社団法人 日本玩具協会
安全面に配慮された玩具に貼付するST(Safety Toy)マーク |
STマークは「安全面について注意深く作られたおもちゃ」として玩具業界が推奨するもので、14歳以下の子ども向け玩具に付けられているマークです。
STマーク付きの玩具には対象年齢が記載されており、対象年齢が低い玩具は、その部品が喉に詰まらない大きさであったり、尖った部分がなかったり、部品が外れないよう設計されています。 |
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特定非営利活動法人 キッズデザイン協議会 「キッズデザインマーク」 |
キッズデザイン賞は、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」、「子どもたちの創造性と未来を拓(ひら)くデザイン」そして「子どもたちを産み育てやすいデザイン 」というキッズデザインの理念を実現し、普及するための顕彰制度です。 | |
経済産業省
国が定めた技術基準に適合した製品に貼付するPSCマーク |
PSCマークは、国の定めた技術基準に適合した製品に付けられ、Product(製品)、Safety(安全)、Consumer(消費者)を表しています。
「特別特定製品」には乳幼児用ベッドも指定されています。 |
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ASTM (米国試験・材料協会)
世界最大級の民間規格制定機関が策定・発行する規格 |
世界75か国で法規制等の基準とされるなど、国際的に広く支持されている規格です。
乳幼児向け玩具に関しては【ASTM F963】と言う安全基準が設定され、玩具やぬいぐるみ、子ども用アクセサリー、乳児用品、運動具、ゲーム、幼児教材、ベビーベッドなどが対象となります。 |
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CEマーク
ヨーロッパ連合(EU)の法的規制による統一規格・基準をクリアした安全マーク |
乳幼児向け製品には【EN71】という規定が発行され、対象年令や使用目的など、 様々な角度から玩具の安全性について検査されます。 | |
BSIマーク
英国規格協会によって制定・発行された英国の国家規格 |
BS規格でベビーカーに適用されるのはBS7409。
ブレーキ、ハンドル、ホイールなどの安定性、寸法、耐久性や衝撃試験などにおいて厳しい要件が定められています。 |
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GSマーク
ドイツの「機器安全法」に基づいた検査に合格した製品に付与されるマーク 法的に義務付けられてはいない |
GSとはドイツ語で「Geprüfte Sicherheit」安全試験済みを意味するの頭文字です。
ドイツの安全性基準を満たした製品に認証されるマークです。 |
近年は輸入商品も多く手に入り、安全な商品なのか判断するのが難しいですが、こうしたマークがついている商品を選ぶと安心ですよね。
ですが、こうしたマークがついているから100%安全というわけではないので、やはり取扱説明書をよく読んで、正しい使用方法を守ることが大切だと思います。
2 首掛式の乳幼児用浮き輪
赤ちゃんが、これを着けてお風呂に浮かんでいる姿は、可愛く見えますが、危険と隣り合わせのグッズなんです。
国民生活センターや消費者庁の情報によりますと日本で販売されるようになった2012年以降、1歳未満の赤ちゃんの事故が発生していました。
◇首浮き輪に十分な空気が入っていなかったことによる事故事例
◇首浮き輪が外れて溺れた事故事例
◇首浮き輪を使用中に一時窒息した事故事例
などが報告されています。
これらの事故は、いずれも浴槽で発生しています。
また、保護者が髪を洗っていたり、服を取りに行くなどわずかな時間目を離した隙に発生したと報告されています。
注意ポイント
①製品の取扱説明書をよく読み、空気が十分に入っているか、ベルトが外れていないかなどを確認して正しく使用する。
②使用可能な対象年齢を守る。
しかし、対象年齢内であっても浮き輪にあごがのらなかったり、首と浮き輪のすき間にゆとりがない場合は使用しないこと。
③使用中は、決して子どもから目を離さないこと。
保護者が自分の髪を洗ったり、他の子どもを洗ったりするときには使用しない。
首浮き輪はワンオペ育児の便利アイテムではないです!!
④使用中に子どもの異変を感じたら、すぐに使用を中止すること。
厚生労働省の人口動態統計によると、4歳までの子どもが一番よく溺れる場所が自宅の浴槽だそうです。
そして、溺れる時は水をバシャバシャ叩いたり、声を上げて溺れるわけではなく、静かに溺れます。
子どもをお風呂に入れるのは毎日のことで、つい慣れで「これくらい大丈夫だろう」という思いが生まれやすいかと思いますが、実際は危険と隣り合わせなんですね。
3 赤ちゃん用寝具(枕・毛布など)
頭の形を整えるためのドーナツ枕や毛布などのブランケット、柔らかい布団、ぬいぐるみなどのおもちゃは赤ちゃんにとって、窒息やSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクとなる可能性があるんです。
SIDS(乳幼児突然死症候群)という病気は、現在のところ、原因は分かっておらず、それまで元気だった赤ちゃんが事故や窒息ではなく、眠っている間に突然死亡してしまう病気のことです。
日本での発症頻度はおよそ出生6,000~7,000人に1人と推定され、生後2か月から6か月に多いとされています。
SIDSの予防方法は確立されていないのですが、厚生労働省の方からは以下の3つのポイントを守ることによって、SIDSの発生頻度を減らすことができるとされています。
ポイント
①1歳になるまでは、寝かせるときはあおむけに寝かせましょう
②できるだけ母乳で育てましょう
③タバコはやめましょう
また、アメリカ小児学会で発表されているSIDSのガイドラインの中では、上記に加えて以下のことが示されています。
ポイント
④眠る布団やマットレスは硬いものを使用する。
シーツはしっかりとしわの無いように掛ける。
掛布団や枕などの寝具など柔らかいものを置かない。
※1歳になるまではぬいぐるみなどはベッドやお布団に置かない。
⑤理想としては1歳まで、少なくとも生後6か月までは、赤ちゃんは両親と同じ部屋で寝かせる。
ベッドは両親のベッドの近くに置く。赤ちゃんの布団と親の布団は別のものを使用する。
⑥乳幼児突然死症候群、窒息、閉じこめ、首への絡まりなどのリスクを減らすため、赤ちゃんの眠る場所から柔らかいものや取れやすい寝具などを取り除いておく。
⑦おしゃぶりを昼寝や就寝時に使用することを検討する。
⑧母親は妊娠中や出生後にアルコールや違法薬物を避ける。
⑨赤ちゃんが暑くなりすぎないよう、室温や着せる物に注意をする。
帽子などで頭部を覆わない。
⑩妊娠中の女性は、定期的な妊婦健診を受ける。
⑪赤ちゃんに使用する用品は安全基準を満たしたものを選び、使用方法を遵守する。
⑫SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを低減する目的で家庭用呼吸モニターを使用しない。
⑬保護者が目を離さない状態で、また安全な環境で腹ばい運動(タミータイム)を行う。
腹ばい運動は呼吸器、運動能力、筋力の発達を促し頭蓋変形を予防する。
参考記事
「SIDSについて、今わかっていることは?」日本小児学会指導医 坂本昌彦先生
URL【https://news.yahoo.co.jp/byline/sakamotomasahiko/20220515-00296079】
原因が不明で、突然亡くなってしまう「SIDS」。
原因は現在のところ分かってはいないようですが、発生要因をできるだけ取り除くことによって皆さんの安心材料にしていただけたらと思います。
また、上記の条件をすべて満たすのは、各ご家庭の事情や条件によって変わるかと思います。
例えば、「できるだけ母乳栄養」と書かれていますが、事情によって人工栄養の方もいらっしゃいますよね。
人工栄養も母乳栄養も赤ちゃんにとっては大切な栄養ということには変わりはなく、必ずしも母乳栄養にしなければいけないわけではないと思います。
しかし、現時点でSIDSの発生要因を減らすことが分かっているという事実があるということです。
ですので、人工栄養で育てている方は、他の発生要因を除去することでカバーすれば良いのではないかと思います。
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4 バウンサー
ゆりかごのようにやさしく揺れて赤ちゃんをあやすベビーバウンサー。
ワンオペで家事やお風呂に入れるときに大活躍してくれますよね。
バウンサーに似ていますが、下の画像の「傾斜型ベッド」という商品があります。
2019年にこの傾斜型ベッドはアメリカで販売自粛されました。
参考
なぜ、自粛することななったのかというと、この画像の商品「フィッシャープライスのロッキンプレイスリーパー」による乳児の死亡事故が30人以上発生したからです。
(同様の形状の傾斜型ベッドを含めると70人以上の死亡事例が発生)
その原因は、赤ちゃんが寝返りをして、戻れなくなり窒息死に至ったケースや、
傾斜がついていることによって気道が塞がり窒息に至ってしまったということです。
そのような観点からいうと、バウンサーで寝かせるのも危険だということになります。
しかし、揺れていると赤ちゃんも落ち着くし、抱っこせずに居心地良く座っていてくれるバウンサーは、
ワンオペ育児では特に寝かしつけに使ってしまっているという方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、米国消費者製品安全委員会からは傾斜型のベッドのように、10~30°の角度がついている商品は赤ちゃんの寝床には適さないと発表されています。
そのため、バウンサーでの寝かしつけやそのまま赤ちゃんを寝かせてしまうことは避けてください。
最新ニュース
2022年5月16日にはジョー・バイデン米大統領が「乳幼児の安全な睡眠法」に署名したとのニュースが流れてきました。
この法律の施行によって、アメリカでは傾斜型ベビーベッドとベビーベッドバンパーの製造・販売が禁止されます。
市場から排除されるのは、寝床に10度以上の傾斜がついた1歳までの乳幼児用傾斜型ベビーベッドとパッドの入ったベビーベッドバンパーです。
どちらも乳幼児が窒息する危険性があり、これまでに乳幼児の死亡事故が200件以上報告されていました。
よって、赤ちゃんは平らで、硬いマットレス、周囲には枕やぬいぐるみやブランケットが置いていない寝床で寝かせるのが安全だということになります。
窒息だけでなく、バウンサーによる転落事故も日本では発生しているので、赤ちゃんを乗せたら必ずベルトを装着して、目の届く範囲で使用しましょう。
また、バウンサー自体が転倒しないように置き場所が斜めでないか、段差がないか、柔らかい表面でないかを確かめて、平らで低い場所に置くようにしましょう。
5 歯固めジュエリー
見た目が華やかで、おしゃれでかわいいですよね♡
しかし、こちらも赤ちゃんが使用するとなると窒息の危険がある商品なんです。
アメリカの米国食品医薬品局(FDA)には、歯固めジュエリーが原因で重傷を負った乳児や小児の報告が寄せられています。
このうち1件は生後18カ月の小児で、昼寝中に歯固めネックレスで首が絞まったことが原因で死亡したということです。
日本ではまだ事故事例は報告されていませんが、子どもの口に入る大きさのおもちゃによる事故は日本でも死亡事故が発生しています。
その点で、歯固めジュエリーも小さい部品が連なっており、万が一赤ちゃんが噛んでいて紐が切れた場合、誤嚥や窒息事故が発生する危険が高いと小児科医を始め医療関係者の間でも注意喚起されています。
赤ちゃんは何でも口にします。
歯固めジュエリーの販売側の意見を見ると、「赤ちゃん用ではなく、身に着けるのは大人である」と主張しています。
しかし、その判断は赤ちゃんにはできません。
目を離した隙に、赤ちゃんが口にしていて事故が発生したらと思うと、とても怖い商品だと個人的に思います。
「可愛い」だとか「写真映えする」といった大人の都合だけで購入する商品を決めるのではなく、子どもにとって安全なものは何か見極めて購入することが必要なのではないでしょうか。
\安全性が保障されている歯固めはこちら/
ポイント
こどもの口の大きさは3歳児で直径約4cm。
これより小さいものは子供の口にすっぽり入り、窒息の原因になる危険があります。
直径4cm未満のものは子供の周りに置かないようにしましょう。
おもちゃなどが飲み込む危険がない大きさかどうかを確認する際は、市販の誤飲チェッカーを利用すると便利です。
チェッカーがない場合はトイレットペーパーの芯が直径約4㎝なので、トイレットペーパーの芯を通るものは、子どもの手の届くところに置かないようにしましょう。
参考
6 スリング
赤ちゃんを抱っこしながら家事や寝かしつけ、移動する時も両手があくのでとても便利ですよね。
便利なアイテムですが、調べると転落事故や窒息死に至ってしまった事例なども報告されているので、扱いには注意が必要なアイテムです。
日本では抱っこ紐やスリングによる事故は転落による頭部打撲が一番多いようです。
◇抱っこ紐やスリングで赤ちゃんを抱っこし、前かがみになった際に、赤ちゃんが転落してしまったケース。
◇赤ちゃんをお腹側で抱っこしている場合、親は足元が良く見えずに躓き転倒してしまうというケース。
などが、ありました。
そのため、抱っこ紐やスリングを使用するときは以下のポイントに注意して使用してください。
ポイント
●バックル類の留め具や、ベルトの調節、子どもの位置など、取扱説明書を読んで、正しく装着しましょう。
緩く使用するのは大変危険です‼
●おんぶするときや抱っこするとき、降ろすときは、必ず安全な場所で行い、かつ低い姿勢で行いましょう。
●抱っこひもやスリングの使用時に、前かがみになる際は、必ず子どもを手で支えましょう。
スリングでは転落事故だけでなく、窒息事故が発生しています。
スリングは赤ちゃんとの密着度も高くなり、抱っこ紐よりも軽量であることから最近人気が高い製品ですよね。
しかし、日本小児科学会からは2009年、スリング内で生後2カ月の赤ちゃんが亡くなってしまったケースが報告されています。
このケースでは死因が窒息であったかどうかの特定ができていないようですが、スリング内では赤ちゃんの鼻や口がスリングの布や親の体に押し付けられて息ができなくなってしまうリスクが指摘されています。
また、スリング内では赤ちゃんの体がC字型に曲がってしまうことで呼吸が苦しくなってしまうというリスクも指摘されています。
スリングの窒息事故を防ぐために米国消費者製品安全委員会(CPSC)からは、抱っこひも(特にスリング)による窒息を防ぐための使用上のポイントが紹介されています。
ポイント
●乳児の顔が覆われておらず、スリングの着用者から常に見えるようにする。
●スリングで赤ちゃんを授乳する場合は、授乳後に赤ちゃんの位置を変えて、赤ちゃんの頭が上を向き、スリングと母親の体から離れるようする。
●スリングで赤ちゃんを頻繁にチェックすることが非常に重要。
常に、赤ちゃんの鼻と口を塞いでいるものがなく、赤ちゃんのあごが胸から離れていることを確認する。
7 まとめ
今回まとめた取り扱いに注意が必要な育児グッズはほんの一部で、このほかにも取り扱いに注意が必要な育児グッズはたくさんあります。
育児グッズの種類が多様化する中で、私たち保護者は子どもの安全を守るためにも、安全なものを選択すること。
そして、安全に適切に使用するということがとても大切なことではないかと思います。
今回の投稿が皆さんの参考に少しでもなれば嬉しいです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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