授乳をしている誰もがなり得る可能性がある【乳腺炎】。
乳腺炎になったら、なによりママが痛く、つらい思いをし、
せっかくの授乳が嫌なものになってしまいます。
だからこそ、乳腺炎は予防が大切!
そして、ひどくなる前に自分で対処できれば、
悪化する前に治る可能性があります。
だからこそ、授乳しているママには全員に知っていて欲しいのが、
乳腺炎の予防方法と、対処方法です。
もしもの時に、自分で対処できるようにしっかりチェックしておいてくださいね♡
1 乳腺炎とは
妊娠中の方や、出産後育児をされている方は、【乳腺炎】という言葉を耳にしたことがあるかと思います。
乳腺炎は、乳房に圧迫した時の痛みがある、乳房が熱い、赤みがある、腫れているといった症状が出現した状態のことを言います。
また、38.5℃以上の発熱、悪寒、関節痛などの全身症状を伴うものと定義されています。
乳腺炎は、云わば乳腺に起こった【炎症】のことです。
2 乳腺炎になる要因
主な要因は乳汁のうっ滞と感染です。
そして、乳汁のうっ滞や感染から乳腺炎になってしまう誘因としては下記のことが挙げられます。
①乳頭にキズがある
授乳の際、赤ちゃんの口の吸着が浅いとキズができやすいです。
また、乳頭・乳輪部が硬かったり、乾燥していることもキズの原因になります。
②授乳回数が少ない(回数または授乳時間を決めて授乳している)
授乳回数は産後しばらくは8~12回/日程度、時にはそれ以上必要です。
授乳回数や時間を決めて授乳する機会が少ないと、乳房に母乳が溜まったままとなり、乳腺炎の誘因となります。
③授乳間隔があいている
出産後数ヵ月間の授乳間隔は、赤ちゃんによって個人差が大きいので、一概に何時間毎に授乳するのが良いとは言えません。
ですが、多くの場合3~4時間以上授乳があくことは1日に1~2回程度で、ほとんどの赤ちゃんは頻繁に母乳を欲しがります。
授乳の間隔が今までの授乳間隔よりも極端にあくことがあると、乳腺炎の誘因となります。
④乳房から効果的に母乳を飲みとることができていない
赤ちゃんに授乳する時、吸わせ方が有効的でなかったり、赤ちゃんの吸い方が弱いことで、母乳を十分に飲みとれていないと、乳腺炎の誘因となります。
⑤母乳が出すぎる(過剰分泌状態)
赤ちゃんが飲む量以上に母乳が作られている状態では、飲み残した母乳が常に乳房の中に溜まっているので、乳腺炎の誘因となります。
⑥きついブラジャーやシートベルトによって乳房が圧迫される
きついブラジャーやシートベルトで乳房を圧迫すると、血流が滞ってしまい乳腺炎の誘因となります。
⑦母親のストレスや疲労
疲労やストレスが溜まっていると血液循環が悪くなり、乳腺炎の誘因となります。
食事によって母乳がまずくなったり、乳腺炎になることはないですよ。
基本的に好きなものを食べてOKです。でも、バランスよく食べるようにしてくださいね♪
また、「1日に〇Lお水を飲まないといけない」というのも根拠がありません。
水分補給は大事ですが、極端に水分摂取する必要はないですよ。
長期休暇でお出かけが増えたり、来客があると、授乳間隔があいてしまうことがよくあります。
そういった時に、乳腺炎は発生しやすいので注意が必要ですね。
3 乳腺炎の予防方法
ズバリ予防方法は、上記で挙げた誘因を除去すること!!
①乳頭にキズを作らない
◇授乳姿勢(ポジショニング)、吸着(ラッチオン)を適切に行うこと
右の図の赤ちゃんのように、乳房に吸着した時の口が大きく開き、乳房を深く咥えている状態が良い吸着(ラッチオン)です。
おちょぼ口で、乳頭の先だけ咥えている状態では、効果的に母乳は飲みとれず、乳頭に痛みも伴います。
◇キズができたところは母乳を塗って保湿する
できてしまったキズには、自分の母乳をキズに塗っておくと治癒効果があります。
②授乳回数を決めない、時間で授乳しない
授乳は赤ちゃんが欲しがった時にあげる自律授乳が基本です。
ですが、赤ちゃんが有効的に母乳を飲みとれていない時は、搾乳器や自分の手で搾乳してもOK。
③授乳間隔をあけない
乳腺炎は、先ほど言ったように乳房に母乳が溜まり外に排出されないことで炎症が起こる状態です。
そのため、溜まっている母乳を外に出す!!ということがとても大事です。
産後は寝不足な中、育児に追われ疲労も溜まっていると思いますが、授乳は休まないようにしましょう。
④母乳を効果的に飲みとれる姿勢で、赤ちゃんの口は大きく開けて授乳させる
①の「キズを作らないこと」でもお話ししましたが、授乳姿勢(ポジショニング)と赤ちゃんの口の吸着(ラッチオン)はとても重要です。
この2つが崩れていると、赤ちゃんは効果的に母乳を飲みとることができません。
授乳姿勢は何種類かありますが、どの姿勢の時でも下記のポイントができているか確認して授乳をしてみてください。
ポイント
◇赤ちゃんの鼻とお母さんの乳頭が向かい合っていること。
◇赤ちゃんの耳、肩、腰が一直線になっており、ねじれていないこと。
◇赤ちゃんのお腹とお母さんのお腹が離れておらず、しっかり密着していること。
◇授乳クッションなどを利用して、赤ちゃんの体全体を支えていること。
◇授乳している時のお母さんの姿勢が辛くないこと。
力みすぎていたり、前のめりや体をねじって授乳していないこと。
正しい姿勢で授乳ができるように、椅子に座ったり、バスタオルや授乳クッションを効果的に使用してみましょう。
⑤赤ちゃんの必要量以上の母乳を出しすぎない
母乳は出した分だけまた作られる仕組みになっています。
授乳を始めたばかりの頃は、母乳が出なかったり、出ても少量ですよね。
母乳の量を増やすためには、たくさん授乳して刺激を与えることで、母乳を作るホルモンがたくさん分泌されます。
そして、乳房の中に溜まっている母乳を授乳や搾乳により空っぽにすることで、新しい母乳が作られます。
しかし、母乳の量が十分に足りている時や、分泌過多の時に乳房に溜まっている母乳を空っぽにしてしまうと、
体は「赤ちゃんはこれだけ飲むんだ、もっと作らなきゃ」と反応して、出した分の母乳量をまた作ってしまいます。
大量の母乳がまた作られてしまうと、母乳が余り乳房に残ったままとなるので、乳腺炎の誘因になってしまいます。
そのため、母乳量が足りている時、または分泌過多の時は、必要量以上に母乳を絞らないことが大切です。
もし、赤ちゃんが飲み終えた後でも母乳が残り、痛みがある時は「少し軽くなったかな」と思うくらい、軽く絞る程度にとどめてください。
⑥乳房を圧迫しない下着をつける
授乳中はノンワイヤーのブラジャーで、乳房を締め付けないようにしましょう。
また長時間のドライブの際、シートベルトで乳房を圧迫しないようにベルトの位置を、こまめに変えたり、休憩を挟みましょう。
⑦ストレスや疲労を溜め込まない
産後は何かと疲労やストレスが溜まりやすいです。
授乳以外は家族に頼ったり、活用できるサービスを利用するなどして、お母さんの休息時間を確保するようにしてください。
4 痛くなった時の対処方法と受診の目安
乳腺炎かもしれないと思った時、すぐに産院や助産院に相談できれば良いですが、夜間であったり休診していたりすると困ってしまいますよね。
そんな時のために是非、自分でできる対処法を覚えておいてください。
(1)自分でできる対処法
①とにかく授乳する
授乳の回数をいつもより増やして、溜まっている母乳を赤ちゃんに飲んでもらいましょう。
夜間授乳をしていない場合は、夜間授乳をしてください。
赤ちゃんが飲んでくれない場合は、搾乳器や手を使って搾乳をして溜まった母乳を出しましょう。
カネソンの搾乳ポンプは、簡素な作りですがしっかりと圧がかかって搾乳も楽にできます。
一体型なので、お手入れが楽なのもオススメ!
メデラの搾乳器は搾乳口がオーバル型で360度回転するから、自分好みに調節できる!
更に、短いハンドルと長いハンドルで赤ちゃんの飲み方を再現でき、母乳がわきやすく、搾乳しやすいように作られています。
②圧迫授乳をする
乳房で痛みがある部分や、硬くなっている場所が母乳が滞っている(うっ滞)部分です。
授乳の際に、空いているほうの手で、その部分を軽く圧迫しながら授乳してみましょう。
赤ちゃんがコクコク飲んでいる時に、軽く抑えるような感じで圧迫してください。
③授乳前に、乳輪を柔らかくほぐす
乳腺炎になっている状態の時は、乳輪の辺りが硬くなっていることが多いです。
乳輪部分が硬いと、赤ちゃんの口が深く吸着できず、効果的に母乳を飲みとることができません。
そのため、授乳前に乳輪をマッサージして柔らかくしてから赤ちゃんを吸着させてみてください。
④授乳姿勢を変える
乳房の痛い部分、張っている部分の延長線上に、赤ちゃんの上唇または下唇があたるよう吸着させてください。
口角の部分よりも、上唇と下唇は吸う力も強いので、乳腺に溜まった母乳を良く飲みとってもらえます。
そのため、授乳姿勢を横抱き、交差横抱き、縦抱き、フットボール抱きなどと授乳姿勢を変えて授乳をしてください。
《例1》
図のように乳房の12時または6時の方向が痛むときは、赤ちゃんを立て抱きまたはフットボール抱きにして、
上唇と下唇が12時・6時の方向に向くように吸着をさせてください。
《例2》
乳房の3時・9時方向が痛むときは、赤ちゃんを横抱き、交差横抱き、フットボール抱きにして、
上唇と下唇が3時・9時方向に向くように吸着をさせてください。
⑤痛い・赤みがある・熱がある部分を冷やす
冷やすと痛みが和らぐ、気持ちが良いと感じる場合は、冷却ジェルや凍っていない保冷剤などを当てて冷やしてください。
⑥ストレッチをして身体をほぐす
首や肩、背中周辺が凝り固まっていると、血流が悪くなっており乳腺炎も改善しません。
首や肩、背中周辺のストレッチを授乳の合い間で行い身体をほぐしましょう。
⑦痛みが強く熱がある場合は、鎮痛薬を使用する
授乳中でも、飲める薬はあります。
すぐに受診ができない状況で、乳房に強い痛みがある、熱がある時は、市販のアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの鎮痛解熱剤を内服してください。
参考
◇国立成育医療研究センター 【授乳と薬について】 URL:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist_aiu.html
(2)受診の目安
授乳を頻繁にしても、搾乳をしても痛みやしこりがとれない場合や、痛みがひどくなっている場合、熱が出てきた場合は病院を受診してください。
症状がひどくなっている場合には、感染性の乳腺炎も疑われます。その場合は、医師の診断のもと抗生剤などで治療することが必要となります。
感染性乳腺炎は、ひどくなると乳腺の中に膿が溜まってしまい、膿を出すために切開することもあります。
自分でできる対処法をしても、改善しない場合は、我慢せずに早めに受診してくださいね。
5 まとめ
乳腺炎になる誘因は一つではなく、様々な誘因が重なって起こることが多いです。
ですが、基本的に適切な授乳姿勢(ポジショニング)と適切な吸着(ラッチオン)ができていること。
授乳間隔をあけないことでトラブルを予防することができます。
適切な授乳のポイントをマスターして、楽しい育児の時間そして、楽しい長期休暇にしてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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